AUTODESK社が販売するAutoCADは初心者でも扱いやすく、汎用性が高い人気のCADソフトとして世界中で愛用されています。2021年6月にAutoCAD LTの新規販売が終了となりました。今回はAutoCADとAutoCAD LT、新しく加わったAutoCAD Plusの機能を比較、今後のサブスクリプションについてなどをお伝えします。
◆AutoCAD LTの販売が終了!AutoCAD LTユーザーはどうすればいい?
AutoCAD LTはAutoCADに比べ、扱うデータ容量が抑えられているため、データが軽くスムーズに作業ができる利点があります。
シンプルな基本機能のみ搭載されているため、CADに慣れていない方でも、簡単に導入ができ、ユーザーも多いAutoCAD LT。ですが、AutoCAD LTの新規販売が2021年6月7日に終了しました。AutoCAD LTユーザーは今後どうすればいいのか?今後のAutoCAD LTの流れを簡単にまとめました。
Q.AutoCAD LTをサブスクリプションで使用しているが、継続して利用できるのか?
A.AutoCAD LT・AutoCAD LT with CALS Tools共に、サブスクリプションの更新はできます。ただ、新規でサブスクリプションの購入はできません。
Q.AutoCAD LTのサブスクリプションに契約をしていると、自動でAutoCADへ移行される?
A.こちらは「移行されません」。AutoCADに移行する場合は、現在利用しているAutoCAD LTのサブスクリプション期間が満了した後に、AutoCADのサブスクリプションを新規で購入する必要があります。
Q.AutoCAD LT・AutoCAD LT with CALS Toolsのサブスクリプションを更新した場合、新規リリースを入手することは可能か?
A.リリース時に最新版をダウンロードできます。
このように、このままAutoCAD LTを使用し続けても問題はありません。AutoCAD LTのサブスクリプション更新など「AUTODESK AutoCADサポートとラーニング・トラブルシューティング」に詳細が記載されています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
◆AutoCAD・AutoCAD LT・AutoCAD Plusを比較
AutoCADとAutoCAD LT、AutoCAD Plusの基本的なデータを比較してみましょう。
AutoCAD Plus・AutoCAD・AutoCAD LT基本データを比較
AutoCAD Plus | AutoCAD | AutoCAD LT | |
用途 | ・2D 作図、図面、ドキュメントの作成 ・3D モデリングおよびビジュアライゼーション ・さまざまな業種に特化した業種別ツールセットが利用できる |
・2D 作図、図面、ドキュメントの作成 ・3D モデリングおよびビジュアライゼーション |
・2D 作図、図面、ドキュメントの作成 |
機能 | ・2D ジオメトリの作成と編集 ・ソリッド、サーフェス、メッシュ オブジェクトを使用して 3D モデルを作成し編集 ・テキスト、寸法値、引出線、表を使用して図面に注釈付け ・アドオン アプリケーションや API を使用したカスタマイズ ・リボンやツール パレットのカスタマイズ ・オブジェクト データを表に抽出 ・PDF ファイルからデータをアタッチして読み込み ・DGN ファイル、Navisworks、Bing マップのデータを共有して使用 ・CAD 標準仕様を適用して準拠状態を確認 ・業種別ツールセットの利用が可能 |
・2D ジオメトリの作成と編集 ・ソリッド、サーフェス、メッシュ オブジェクトを使用して 3D モデルを作成し編集 ・テキスト、寸法値、引出線、表を使用して図面に注釈付け ・アドオン アプリケーションや API を使用したカスタマイズ ・リボンやツール パレットのカスタマイズ ・オブジェクト データを表に抽出 ・PDF ファイルからデータをアタッチして読み込み ・DGN ファイル、Navisworks、Bing マップのデータを共有して使用 ・CAD 標準仕様を適用して準拠状態を確認 |
・2D ジオメトリの作成と編集 ・文字、寸法値、引出線、表を使用して図面に注釈付け ・リボンやツール パレットのカスタマイズ ・PDF ファイルからデータをアタッチして読み込み ・DGN ファイルや Bing マップのデータを共有して使用 |
その他サービス | ・Autodesk App Store の利用 ・AutoCAD Web アプリ ・AutoCAD モバイル アプリ ・建築設計、機械設計、電気制御設計などの業種に特化したツールセット |
・Autodesk App Store の利用 ・AutoCAD Web アプリ ・AutoCAD モバイル アプリ |
・AutoCAD Web アプリ ・AutoCAD モバイル アプリ |
価格※税込 | 新規サブスクリプション販売価格 1カ月28,600円 1年間231,000円 3年間623,700円 |
新規サブスクリプション販売価格 1カ月8,800円 1年間71,500円 3年間19,3600円 |
新規サブスクリプションの販売終了 AutoCAD LT 1年間(更新)64,900円 AutoCAD LT with CALS Tools 1年間(更新)82,500円 |
無料期間 | 一般:30日 | 一般:30日 | 無料体験なし |
OS | Windows・Mac | Windows・Mac | Windows・Mac |
(上記は2021年8月26日現在の情報です)
AutoCADがAutoCAD LTと同じ価格で利用できるようになりました。そして、今までAutoCADで利用可能だった「業種別ツールセット」は、AutoCADでは利用できなくなり、AutoCAD Plusで利用できるように変更されています。
AutoCADとAutoCAD LTの動作環境はAUTODESK社の公式ホームページでは「同じ」と書かれています。そのため、AutoCAD LTユーザーもPCスペックを気にすることなく、AutoCADが利用できます。AutoCAD LTのサブスクリプション価格でAutoCADが利用できるようになったことは、AutoCADユーザーにとって、かなり大きなメリットになるのではないでしょうか。
AutoCADは3Dモデルにも対応、オールラウンドなCADソフト
AutoCADで利用が可能な機能とAutoCAD LTでは利用できない機能やAutoCADからAutoCAD Plusに移行された、業種別ツールセットについてご紹介いたします。
AutoCAD LTにはないAutoCADの機能
・データ書き出し機能
ブロックの属性やAutoCADの図形の座標情報、さまざまなAutoCAD上のデータを集計表としてExcelなどの外部ファイルとして書き出す、または表のデータとしてAutoCADに貼ることができます。
・カスタマイズ機能
APIカスタマイズはLISPやVBA、OblectARXといったプログラミング言語を利用してカスタマイズができます。
例えばVBAのカスタマイズをすれば、X-Y-Zの座標が入ったExcelのデータをAutoCADで取り込み作図をするマクロが作成できます。
プログラミング知識があまりなくても、アクションレコーダという機能を使えば、AutoCADで操作をしただけでマクロがそのまま作れるという機能もあります。
この機能を使用することで、手作業では時間がかかるものも、効率的に短時間で作図できるようになります。
※VBAモジュールは別途ダウンロード・インストールが必要です
AutoCAD LTはシンプルな2Dの作図がメインの機能でしたが、AutoCADは、効率を重視した機能が、数多く搭載されています。効率の良い作図や、3D・CGやVRを使用した視覚的な効果も利用できます。このように、AutoCADは、さまざまな機能が搭載されているオールラウンドなCADソフトなのです。
AutoCADからAutoCAD Plusに移行された機能
・業界専用ツールソフトの利用
今までは、別に導入する必要があった「AutoCAD Electrical」や「AutoCAD Map3D」などの7つのツールから、好きなものが自由にインストールできます。
例えば「AutoCAD Raster Design」を使用すれば、スキャンした紙図面をDWGオブジェクトに変換し、AutoCAD内に取り込めます。
このように、各業界に特化しオプションソフトを使用することで、作業を容易にし、作業の効率化が期待できます。使用目的が明確で、特殊な作図が必要な場合は、AutoCAD Plusの業種別ツールセットがないと困る方は多いのではないでしょうか。
AutoCADが安価になったため、AutoCAD Plusが高価に感じますが、価格は以前のAutoCADとほぼ変わりありません。今回の変更はAutoCAD LTの価格でAutoCADの機能(業種別ツールセットを除く)が利用できるようになり、以前のAutoCADがAutoCAD Plusになったと考えるとよさそうですね。
◆AutoCADに乗りかえるべきか?AutoCAD LT販売終了の悩み
AutoCADを長年使用しているブログ部メンバーに、AutoCAD LTからAutoCADに乗りかえるべきか聞いてみました!
これからCADの知識を深めるなら、AutoCAD LTのままでもよいのではないでしょうか?
なぜなら、CADの基本は2Dだからです。
もちろんAutoCADの方が利用できる機能が豊富なため、AutoCADを導入する方がいいと思います。
ですが、CADの基本は2Dです。まずはAutoCAD LTで2Dを使いこなせるようにし、そこから知識を広げるために3D機能があるAutoCADに変更をしてもいいのではないでしょうか?
ご自身でAutoCADかAutoCAD LT、どちらを導入するか検討されている方は、一般的にフリーでCADオペレーターをされている在宅ワーカーだと思います。
クライアントによっては、導入しているものはフル(AutoCAD)なのか、LT(AutoCAD LT)なのか、確認してから仕事の依頼が来るケースもあります。
基本的な建築に使用する図面を作図するのは2D。そのため、一概には言えませんがAutoCAD LTを利用し続けても、特に支障はないと感じます。
とのことでした。AutoCAD LTのサブスクリプションを更新したばかりの方も、利用する機能がAutoCAD LTのもので問題がなければ、慌ててAutoCADへ切り替えなくてもよさそうですね。
AutoCADは30日間の無料体験も
AutoCAD・AutoCAD Plusどちらも30日間の無料体験ができます。
無償体験版はAUTODESK公式サイトで簡単な登録後、お使いのパソコンにソフトウェアをダウンロードし、ダウンロードしたファイルをインストールするだけで利用できます。
Jw_cadなど、別のCADソフトを利用していて、今回の改正でAutoCADを検討している方や、これからCADを学習する方。業種別ツールセットはどのようなものか試してみたい方は、ぜひ30日間の無料体験をしてみましょう。
AutoCADの無料体験版ダウンロードはこちら
AutoCAD Plusの無料体験ダウンロードはこちら
はじめてAutoCADを使用する場合、操作そのものが難しく感じる場合があります。
AutoCADのe-Learningやオリジナル教材「キャドリル」で、楽しくAutoCADを学習してみませんか。
30日間の無償体験期間を有効活用するために、独学よりも学習速度が加速する、e-Learningやオンラインセミナーをうまく利用しましょう。
◆AutoCADが学べる「ReCADemy」のご紹介
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